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妊娠中に胎児の検査を行いダウン症と診断されたとき、どう対処するか。これはとても難しい問題であり、簡単に結論が出せるものではありません。しかし一つの選択肢として、中絶という方法があります。
人工妊娠中絶のことですが、まさにこのことについて考えてる方もおられるかもしれません。この記事では、妊娠中の検査で胎児がダウン症と診断された場合に行う中絶について、様々な視点から解説していきます。
ダウン症の中絶を考える前に、まずはお腹の赤ちゃんが健康な状態かどうかを確認する必要があります。ここではまず、妊娠中に行うダウン症の検査方法について紹介します。
母体血清マーカー検査は、別名クアトロ検査とも呼ばれる、妊娠15~18週に行われる出生前診断の一つです。ダウン症、18トリソミー、開放性二分脊椎症が対象で、妊婦の血液を採取して4つの成分を検査し、どのぐらいの確率で発症するか計算を行います。
クアトロ検査とも呼ばれるのは4つの血清マーカーの検査を行うためで、別に3つの血清マーカーの検査を行うものもあり、こちらはトリプルマーカー検査と呼ばれます。母体血清マーカー検査の結果報告までにかかる時間は、医療機関によって異なりますが、概ね約2週間での報告となります。
留意点としては、非確定的検査であることです。母体血清マーカー検査の結果だけで全てを判断することはできず、羊水検査などの確定的検査の前段として行われます。
絨毛検査は、妊娠11~14週に行われる確定的検査です。絨毛染色体検査とも呼ばれ、胎盤の絨毛細胞を採取して培養した上で、染色体の形や数、異常、疾患を検査します。検査方法は2種類あり、経腹法と経腟法に分かれます。
経腹法では、超音波画像を使用しながら、妊婦のお腹に針を刺して胎盤の絨毛細胞を採取、経腟法でも、同じく超音波画像を使用しますが、胎盤の絨毛細胞を採取する際は、膣内にカテーテルや鉗子を挿入します。
県債の精度はダウン症候群(21トリソミー)につき100%、結果報告までにかかる時間は医療機関によって異なりますが、概ね約2~3週間です。リスクとしては、お腹に針を刺すことで出血や破水、早産が生じる可能性があること、また1%の割合で流産・死産が生じる可能性もあります。
羊水検査は出生前診断の一つで、染色体疾患全般を対象とする確定的検査です。妊婦の羊水に含まれる胎児の細胞を調べることにより、大事の染色体や遺伝子の状況を知ることができます。胎児の成長は羊水と共にあり、羊水中には胎児の細胞が多く含まれています。
羊水検査の方法は、超音波画像を使用しながら妊婦のお腹に針を刺して羊水を採取し、さらに細胞を培養させて染色体の形と数をチェックします。NIPTよりも検査対象範囲が広いのが特徴で、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーを網羅します。
一方、リスクとしては、針をお腹に刺すことによる出血や破水、早産、母体障害、子宮内感染が生じる可能性があることです。また0.3%の低い確率ですが、流産・死産が生じる可能性もあります。
新型出生前診断は、2013年に日本で導入された非確定的検査です。妊婦の血液を採取して胎児のDNA断片を分析することにより、検査対象の染色体疾患を調べることができます。
検査対象はダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3つで、その他の染色体異常や先天異常はわかりません。検査方法は、前述のように妊婦の血液を採取して胎児のDNA断片を分析すること。
羊水検査や絨毛検査のようにお腹に針を刺す必要がなく、採血のみで検査することができて安全性が比較的高いことが特長です。羊水検査や絨毛検査では低い割合ながら流産や死産が生じる可能性がありますが、新型出生前診断では流産や死産のリスクはありません。また母体血清マーカー検査などと比べて精度が高いこと、早い時期から検査できることもメリットです。
ダウン症の中絶について考えるとき、次のような疑問を抱く人も多いでしょう。それは、ダウン症と診断されたとき、中絶を選ぶ人は実際にどのぐらいいるのか?ということです。とても難しい問題ですが、ここでは、ダウン症の中絶の割合について紹介します。
ダウン症と診断された人が中絶を選ぶ割合については、報道ベースではいくつかのデータが出ていますが、正確な統計的データはどこにも存在しません。まずはこの点を認識しておくといいでしょう。というのは、ダウン症と診断されたカップルや夫婦の中には、中絶を選んだことを申告する人もいれば、申告しない人もいるからです。
むしろ、デリケートな問題であることを考えれば、カミングアウトしない人のほうが圧倒的多数と考えられます。従って、申告した人だけでデータを作ることはできても、実際にダウン症で中絶を選んだ人の割合を正確に知ることはできないのが実情です。中絶の割合について知りたい方は、ぜひこの点を覚えておいてください。一方、不確実性をはらみつつも、新聞報道では一定の参考データが報告されています。
ダウン症の中絶の割合に関する新聞報道では、中絶を選ぶ人の割合が高いことを示すデータが報告されています。例えば、ある病院グループの検査では、羊水検査などの出生前診断で異常が確定した妊婦113人のうち、97%にあたる110人が人工妊娠中絶を選んだという結果が出ています。
しかもこのうち確定診断前に中絶を選択したのは2人、陽性判定を知る前に中絶した人が1人となっています。これは妊婦の血液を通して胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断を行った病院グループの報告ですが、大多数が中絶を選んでいることがわかります。
また小児科・小児外科の医師、医学博士の報告でも、染色体異常と診断を受けた妊婦が出産したケースは、わずか3%だったとされています。いずれにしても、出生前診断で陽性と判定された妊婦の多くが中絶を選んでいることがわかります。
中絶を選ぶ割合からすると、ダウン症による中絶は特別なことではないことが分かります。では、ダウン症による中絶は法的に正しく、それを行っても犯罪にはならないのでしょうか。非常にデリケートなこの問題について考えてみます。
ダウン症における中絶が犯罪になるかどうかは、中絶に関する規定を設けている二つの法律を調べてみる必要があります。そのうちの一つは、堕胎罪についての規定がある刑法212条です。
そこには「妊娠中の女子が薬物を用い、又はその他の方法により、堕胎したときは、一年以下の懲役に処する」と書かれています。この文言をどのように解釈するかは法の運用と判例次第ですが、ストレートに解釈するなら、中絶そのものは刑法においては犯罪になることが分かります。
ただし、この法律で取り上げられているのは中絶という行為そのものに対する罰則規定だけであり、母体に関する内容は含まれていません。中絶だけに焦点を当てているのが特徴です。
人工妊娠中絶についての規定があるもう一つの法律は、母体保護法14条1項1号です。そこには次のように書かれています。『妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある』場合には、指定医師が、『本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる』。
前述の刑法212条は中絶という行為のみに対象を絞って罰則規定を設けていましたが、母体保護法14条1項1号では、中絶に関して母体を保護するという観点が盛り込まれています。そしてその内容をストレートに解釈すれば、母体の命や健康を損なう危険がある場合には、人工妊娠中絶を行うことになってもやむを得ないと捉えることができます。
ダウン症による中絶が犯罪になるかという問題については、二つの見方ができるでしょう。まず一つ目の見方は、法的には必ずしも犯罪にはならないということです。前項で紹介したとおり、母体保護法14条1項1号では、『妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのある』場合には、指定医師が、『本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる』となっています。
これは要件を満たした場合にのみ中絶ができるという意味に解釈することができ、ダウン症による中絶を行っても、必ずしも犯罪にはならないことが分かります。一方、法律ではなく、倫理的及び道義的な観点から犯罪になるという考え方もあります。命をどう捉えるかという問題については様々な見解があり、その中には、どんな理由があっても中絶という行為は非人道的だと考える人もいるからです。
ダウン症の中絶に関する問題では、2019年3月に、日本産科婦人科学会が新型出生前診断を行う施設の要件緩和の案を了承したことが、議論を呼んでいます。議論の焦点になっているのは、出生前診断を行える施設がこれまでは特定の専門施設のみだったところが、このたびの了承で一般の開業医にも大幅緩和されたことです。
これに対してダウン症の中絶に反対する団体などが、強く反発の声を上げています。命を粗末することに繋がりかねない、差別が助長される、倫理観のバランスが崩れてしまう、といった懸念があるからです。
また民間団体だけでなく、日本小児科学会も「小児科医の関与が不十分な体制で実施施設の拡大を目指している」として、同じく懸念を表明しています。そして、出生前診断の施設条件の議論が十分でなく、もっと慎重な議論を行うべきだという考え方も示しています。
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24時間対応のWEB予約・電話予約(自動音声システム)があるので、好きなタイミングで人と話すことなく予約が取れます。土日も19時まで診療を実施。
※最寄駅から徒歩5分未満の病院を「駅チカ」と表示しています。